【徹底解説】 ファイナンシャルフェアプレーとバルセロナへの影響 来季以降はどうなるのか? 前編

目次

ファイナンシャルフェアプレー(FPP)って何?まず時系列で解説

2011年、FIFAによりファイナンシャルフェアプレー(FFP)として導入されました
概要としては、移籍金や人件費などの支出(ただし、育成や施設への投資はこれを含まない)は営業利益(選手売却による移籍金、スタジアム入場料、大会賞金、放映権、グッズ収入、スポンサー収入)を超えてはいけないというものです

この規則を違反した際の罰則は罰金、賞金の配布停止、選手移籍の禁止、最も厳しいものではCLなどの欧州大会への参加禁止などが含まれます

当時欧州の50%以上のクラブが赤字経営ともいわれており、これらを是正しクラブが経営破綻をしてしまうケースを防ぐ狙いで施行されました。勝ち点とチームの給料には相関があるというアカデミックな研究は数多くあり、とにかく短期的な成功を求めて借り入れやポケットマネーを投入するケースが多く、実際にフィオレンティーナやナポリなど名門クラブでも破綻した例は多数あります

導入当初(2013-14シーズン)は移行期間とされ3000~4000万ユーロという赤字許容額が設定されましたが、18-19シーズン以降は赤字をゼロにしなくてはならないとされ、影響度が増していきました(収支チェックは単年ではなく過去3年の合計額で判断されます)

モラッティ会長のインテル、ベルルスコーニ会長のミラン、マラガなど金満オーナーのクラブが大きなダメージを受け弱体化、マンチェスターシティ、パリSGは罰金や選手獲得予算のキャップ設定などの制裁を受けるなど多くのクラブが影響を受けました

新ルール Financial Sustainability Regulations(FRR)とは

2022年4月FIFAよりファイナンシャルフェアプレー規則は財務的持続可能性の規制(FSR:Financial Sustainability Regulations)へと改定されました

新ルールの柱となっているのは以下の3つです

  • Solvency(支払能力):自クラブの従業員、選手、他クラブの支払などにおいて支払遅れがないこと
  • Stability(安定性):従来許容されていた過去3シーズンの累計赤字額が3000から6000万ユーロ(緩和)
  • Cost Control (コストコントロール):給与、移籍金、エージェント費がクラブ収入の70%を超えないこと(厳格化)※ただし23-24は90%、24-25は80%と移行期間が設定されている

※FFP施行時の記事では18-19シーズン以降は過去3年の赤字はゼロである必要があるとされていましたが、FSR施行時の記事では結局3000万ユーロまで認められていたようです。また間を埋める情報が出てきましたら更新します

ラリーガ版のサラリーキャップ Economic Cost Controlとは?

UEFAの設定するFSRとは別に、各国のリーグでは独自のコスト規制を設けている場合があります

スペインで設定されているサラリーキャップ制度はEconomic Cost Control(ECC)という名称で2013年より施行されています

FSRでは過去3年の結果をチェックする遡及的な仕組みである点に対して、ECCでは翌年の収入見込みから使用できる額(給与、移籍金)が設定され、設定額をオーバーしている場合は選手登録が出来ないというさらに厳しい制度になっています

具体的には、「スカッドコスト」=給与と移籍金償却費等の合計とし、基本的には「該当シーズンに想定される収益ースカッドコスト以外の費用」という形で人件費に費やせる「スカッドコストリミット」が設定され、スカッドコストがリミットを超えないことが求められます。※実際には過去2シーズンの収益や損失も反映されます

2013年から施行されているということで、まだメッシ、ネイマール、スアレスなどを擁し2015にはCLを制覇するなど、収入が多いうちは問題ありませんでした

しかし、コロナ禍による収益減、明らかに高すぎる移籍金を支払った選手達への減価償却により経営状況を悪化させ、債務超過の状態に陥ってしまいます。そして22年3月にラリーガから発表されたサラリーキャップでは▲1億4400万ユーロと設定されてしまいます。。。(リーグで唯一マイナス)スカッドコストがスカッドコストリミットを上回った場合、新加入の選手登録が認められません

その場合、選手を売却する、新しいスポンサー収入を得る、資本注入を行うなど収益を増やしてその分のスカッドコストリミットを広げる必要があります

そこで22年夏に話題を呼んでいたのが「経済的レバー」という言葉で、具体的には以下の施策を指しました

  1. 今後25年間のラリーガのテレビ放映権の10%をシックスストリートに売却(2億≒280億円)
  2. 今後25年間のラリーガのテレビ放映権の15%をシックスストリートに売却(3~4億≒420~540億円)
  3. Barca Studiosの24.5%をSocios.com売却 (1億ユーロ≒約140億円)
  4. Barca Studiosの24.5%をOrpheus Media売却 (1億ユーロ≒約140億円)

これらによる資金調達により、22年夏に獲得したレバンドフスキや、再契約を行ったデンベレやセルジ・ロベルトなどとなんとか開幕までに選手登録を終えることができました。。。

ちょっと整理しようと思い書き出しましたが、メッシ退団、デヨングを追い出すかのような動き、バルメトウ前理事会のずさんな経営など当時のことを思い出すだけでしんどいですね。。これからはラポルタ会長が改善してくれると信じていきましょう!

少し長くなってしまいましたので、23-24の動きや今後の見立てに関しては次の記事で書きます!今日はここまで!

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