【徹底解説】 Economic Cost Controlとバルセロナへの影響 来季以降はどうなるのか? 後編

目次

23年夏、何が起きていたのか?

4年ぶり27回目のリーガ王者となったバルセロナに23年夏、再び選手登録問題が持ち上がります

7月11日時点でリーガに登録されている選手は13人のみ、契約更新や新戦力が登録出来ていないという衝撃的なニュースが飛び交いました

この時点で登録済みとされたのは、従来の契約を引き継いでいる以下の選手たち
シュテーゲン、クンデ、エリック・ガルシア、クリステンセン、ペドリ、ガビ、ケシエ、デヨング、
フェラン・トーレス、ファティ、レヴァンドフスキ、デンベレ、ハフィーニャ

・・・え?このメンバーだけでリーガ戦わないといけないの?と思った方も多くいたかもしれません

これに対して活用したのは5つの目のレバー
Barca Vision(NFTやメタバースなどのデジタルコンテンツ関連のプラットフォーム)の29.5%を
LIBERO Football Finance AG社とNIPA Capital B.V.社に売却し、1億2000万ユーロ(約190億円)の調達に成功しました

さらに、ケシエのアルアハリへの売却(1250万ユーロ)、デンベレのPSGへの売却(5000万ユーロ)の一部をあてることにより、
スカッドコストリミットを拡大、無事選手登録を行い2023-2024シーズンを迎えることができたとされています

これからはどうなるの?バルサはまた欧州の強豪に返り咲けるのか?

昨年はリーガを制したとはいえ、ヨーロッパでの戦いぶりや試合内容をみていると
お世辞にもヨーロッパトップとは言えないレベルにまで落ちてしまったバルサ・・・

今後財政状況が改善して有力な選手が来てくれ、ヨーロッパレベルでの競争力が出てくるのはいつ頃になるのでしょうか?

まず、現在の位置付けを見てみましょう
ヨーロッパのSquad Transfer Costランキング(23年夏時点)を見てみると、
バルセロナは3億7500万ユーロとされ、欧州では19位の位置付けとなっています

トップはマンチェスターユナイテッドの11億5000万ユーロ、レアルマドリードは7億ユーロと大きく水をあけられており、
必ずしも競争力とイコールではありませんが、欧州トップレベルから脱落してしまったことは否めません

改めて整理すると、バルセロナの財政状況を圧迫していたのは以下です
①黄金期+ずさんな経営による肥大した人件費
②コロナ禍による収入減
これらが改善すれば競争力が戻ってくると仮定して、今後どうなっていくか見てみましょう

まずは人件費

ラポルタが2回目の会長に就任した2021年6月、バルセロナの人件費は7億800万ユーロ(1120億円)だったといわれています

公式なAnnual Reportでは20-21のsporting salariesは6億1700万ユーロ、
21-22は5億1800万ユーロとなっており一見継続して改善しているように見えますが、
22-23は6億5600万ユーロと再度増加しているのは、前会長時代に先送りした給与の増加分などが反映しているのでしょう

23-24の数字は具体的に出ておりませんが、一部の報道ではアレマニーSDが
グリーズマン、ピケ、ジョルディアルバ、デンベレなど前会長時代に契約したメンバーの整理を進め、
人件費は4億400万ユーロまで圧縮されているとされています
(素晴らしい選手たちなので整理というのは悲しいですね。。。)

これだけ見ると解決済みに見えますが、残っている問題はいまだに続くとされる退団済みプレイヤーへの支払いです

会計上や各種報道でどのように含まれているのか微妙でしたが、
まとめるとメッシ、ジョルディアルバ、ブスケツなどの退団済みプレイヤーにもいまだに給与の支払いを続けており、
総額は500億円にのぼり2025年まで支払が続くともされています

公式なAnnual Reportが21-22までしか発行されていないので推測が多いのですが、
恐らく人件費自体は削減出来ているが、退団済み選手への給与が収益を圧縮しており、結果スカッドコストリミットの改善には繋がっていないのでしょう

二つ目は収入源

20-21シーズンは年間チケットやメンバーによる収入は2500万ユーロ(全体収入に対し4%)まで落ち込みましたが、
21-22シーズンは1億3100万ユーロ(約12.8%)まで回復しており、22-23の期初の見込みは2億ユーロ(約16%)とされています
さらに回復していくことを期待したいところですが、ここで出てくるのはカンプノウ改修問題です

日研設計がコンペに勝ったと発表されたのが2016年でしたが、22年6月ようやく本格的に工事を開始、
現在はホームグラウンドとしてモンジュイックを使用している状況です
しかし、モンジュイックのアクセスが悪いのか、(チームが魅力的でないのか・・)
27000席用意された年間シートは17000シートしか売れず、経営状況を悪化させています

24-25には新カンプノウで一部観客収容を制限しながら運用、25-26には工事完了しフルキャパで運営出来るようになります
欧州最大の座席数は99300席から105000席に増設されるとされており、
ひとたび完成すればチケット収入だけでなくグッズ販売、関連ツアーなど含めて大きく貢献してくれることでしょう

結局スカッドコストリミットはどうなっているのか?

結局、収入ー人件費から構成されるスカッドコストリミットを拡大しない限り
毎年新選手や契約更改の登録に問題を抱え続けることになります

23年のスカッドコストリミットは2億7000万ユーロ(22年から3億7900万ユーロ減)で、
レアルマドリードの7億2700万ユーロ、アトレティコマドリードの2億9600万ユーロに次ぐ3位でした

そして24年2月の報道ではさらに6600万ユーロダウンし現在のサラリーリミットは2億400万ユーロとされています・・・

テレビ放映権は大幅な拡大は期待できない、自己資本注入はNGとなると、
残るはスポンサー収入や選手売却で収入を得るしかありません

これら問題を解決するために、ラポルタはナイキとのスポンサー見直しなど策を練り、奔走しているのでしょう
個人的には暗黒時代を終わらせてくれたラポルタをもう一度信じたいと思います

2025年には未払い給与の支払い完了、新カンプノウもオープンと明るい未来が待っていると信じて、
(スカッドコストは過去3年が反映されるので完全清算はもう少し後になりますが・・)
応援続けましょう! 今日はここまで!

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